画面のなかの遠い潮は、うまく収まりそうに見える。川と空、あとは角度を少し。けれど白い線が水しぶきになると、前景は川のものだ。2024年9月の杭州の報道には、跳ね返る波が岸に達し、服をぬらした見物客が記されている。その日のお土産は、靴のなかにも入っていた。
川辺の物語
潮にポートレートモードはない
携帯を構えても、川は画角に収まって待ってくれない。
同じ街をめぐる · 杭州 ↗予定になかった前景
カメラまで物語に入る
ときには撮る道具そのものが話の一部になる。2020年10月、杭州で近くから潮を見ていた人の携帯が波にさらわれたと報じられた。川はポートレートモードに関心がないらしい。いちばん高くつく一枚が、撮れなかった写真になることもある。落とした物は、防護の内側にとどまって助けを求めるのがよい。
岸辺にある、もうひとつの声
潮の音の横で、係員が下がるよう繰り返し呼びかける。残したい結末は、潮が写真に収まり、人は無事に岸にいること。波に足をすくわれたり転落したりした人には、係員や緊急対応の助けがすぐに必要だ。少し距離を置けば、その日の物語を自分で持ち帰れる。

