雑誌から

林芝の三つの温泉――聴泉洞、排龍、松多

工布江達の布如温泉群にある聴泉洞から、帕隆蔵布沿いの排龍温泉まで、林芝の泉にはそれぞれ固有の地形と呼び名がある。

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布如にある三つの泉

林芝市の地理資料によると、市内には温泉の湧出地点が百か所近くあり、工布江達県の娘蒲郷付近には布如温泉群がある。そこには布如、喇嘛、尼姑という三つの泉名が記されている。布如泉は岩の間から湧き、近くの小さな洞は「聴泉洞」と呼ばれる。資料は、洞口に耳を寄せると水音が聞こえると伝える。

中央の喇嘛泉は長方形の池で、広い岩が目隠しのように立つ。上方の尼姑泉では湯が岩の段を流れ、平らな面にたまるという。名前と泉の形、そこで人がすること――入る、湯を浴びる、水を汲む、耳を澄ます――がひとつの場所の記憶を形づくっている。

帕隆蔵布のほとりに立つ湯気

同じ市の地理資料は、排龍温泉群を排龍門巴民族郷の北、道路と帕隆蔵布のそばに位置づける。

ここは、岩壁に囲まれた布如の湯だまりとは異なる場所だ。排龍では開けた河谷に沿って湯が湧き、布如では岩に遮られた池に水が集まる。裂け目、段状の岩、囲まれた池が、林芝の温泉に異なる地形をもたらす。資料には排龍の噴き上がる高さが3~5メートル、水温が約45~60度とあり、湯気と硫黄のにおいも記されている。 資料の描写では、湯気と速い流れが同じ狭い川岸を分け合っている。

泉名に残る土地の記憶

松多温泉は松多郷に位置し、水温は約40度と記録されている。巴嘎温泉は察隅県の竹瓦根郷にある。波密県松宗郷には「聾唖喊泉」と呼ばれる泉がある。資料に記された土地の話では、人が声を上げると水が現れるという。これは土地に伝わる説明であり、測定された水文学的な仕組みではない。

こうした記述は、ひとつの温泉リゾートを語るというより、小さな水場を結ぶ地図のように読める。泉ごとに道、岩、村、名前がある。まず個々の場所を見分けることで、林芝の多様な温泉をありふれた「湯浴み体験」へと一括りにせずにすむ。

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