赤い生地に押された桃の形

赤い桃粿は、餡を包んだ米粉の菓子に桃の輪郭をつける木型から名づけられた。汕頭市の資料は、赤色の皮と、炊いたもち米を主とする餡を紹介している。餡には椎茸、干しエビ、落花生、豚肉などが加わることもある。赤は祝いを、桃は長寿と吉祥を表す。春節やほかの祭日には、家族の席に並び、祖先や神々への供え物にもなる。

作り方は、できあがった表面に残る。薄く延ばした皮で塩味のもち米餡を包み、合わせ目を閉じ、彫刻した木型に押し当てる。型から外すと、赤い生地に模様が浮かび上がる。形は実用的であると同時に、祝いの食べ物だとわかる目印にもなる。

季節の二つの粿、異なる味わい

潮汕で「粿」は、米、小麦、でんぷんなどから作られる幅広い食べ物を指す。赤い桃粿は、塩味の具を詰めた米の菓子で、赤い色と桃の形が祝いの席に似合う。同じ汕頭の資料は、鼠麹粿を春節の特別な食べ物として紹介する。鼠麹草を煮出して生地に練り込み、甘い緑豆餡を包んで型に入れ、バナナの葉に載せて蒸す。緑がかった皮と草の香りが、もち米餡の桃粿と異なる。

色だけを変えた同じ菓子ではない。名前が示すのは、皮、餡、香り、食べる機会の異なる組み合わせだ。粿を並べた食卓は、ひとつの万能な祝い菓子ではなく、いくつもの食べ物で季節を知らせる。

小さな一品に受け継がれる知恵

木型は模様を繰り返しつけるが、合わせ目を閉じるには生地を分け、餡を包む手加減が必要だ。汕頭市の無形文化遺産リストは、別の具材と個性をもつ達濠魚卵粿の技法も記録している。公開実演や家庭の工房体験では、赤い桃粿づくりを台所の外でも見ることができる。

使い込まれて滑らかになった型、米を包める薄さに延ばす生地、蒸すために選ぶ葉や道具。こうしたものに知恵が宿る。赤い桃粿は色、形、餡がひとつの小さな包みにまとまり、祝いの席に置かれる。鼠麹粿は草を練り込んだ皮で別の季節の訪れを告げる。