香港のトラムは1904年、島の北岸で運行を始めた。東西に延びる路線は、別々に語られがちな地区をつなぎ、海辺の都市を移動しながら見る断面となる。線路は単なる交通の印ではない。店、住宅、公共建築が近い距離で向かい合う街路に、決まった道筋を刻んでいる。車窓の外には日々の暮らしが続く。
雑誌から
トラムと香港島北岸
1904年以来、トラムは香港島北部の地区を結び、東西に共有される街の空間を形づくってきた。

島を横切る路線
見慣れた車両と変化する街
運行が一世紀続いても、街が変わらなかったわけではない。建物、道路幅、交通、海岸線はトラムの周囲で変わってきた。それでも路線が残ることで、街路の高さから変化に気づくことができる。ゆっくりと地区を通り過ぎると、商業ビル、古い店先、密集した住宅が、つながった島の都市を形づくる要素として現れる。
線路から街を読む
トラムの歴史は、それが占める公共空間から考えることもできる。路線は日々の移動を見える形にし、北岸に共通の東西軸を与える。会社の沿革は運行開始の時期を示す一方、運転士、整備員、乗客の経験が路線に人の尺度を与える。二つが交わると、見慣れた乗り物が都市の日常が築かれ、作り直される物語になる。
