1954年、政府は前年の火災で住まいを失った人々を受け入れるため、石硤尾の再定住ブロックを建設した。美荷楼は最初の8棟の一つだった。大勢の住民が住居を必要としていたため、設計には基本的な避難先を迅速に用意するという緊急性が表れている。この建物は香港公営住宅計画の出発点に立ち、災害への即応として住宅政策が形づくられた時期を伝える。
雑誌から
美荷楼と従来型再定住住宅のかたち
H字形の美荷楼は、香港初期の公営住宅と再定住ブロックの空間構成を伝えている。
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火災後の住まい
平面に現れるH
美荷楼は、香港に唯一現存するマークI型のH字形再定住ブロックである。長く連続するバルコニーが建物の水平線を強調する。H字形の平面は上空から見た輪郭にとどまらず、住戸、廊下、共用動線の関係を組み立てている。迅速に最低限の生活水準を確保する設計は、住民が共用部分に沿って近く暮らす独特の空間も生んだ。
部屋の構成を伝える保存
政府の活性化計画は、空間構成を保ちながら建物をユースホステルに転用した。元の住戸5組は博物館の展示用住戸として残され、ほかの部屋は客室となった。丁寧に構造を生かせば、歴史的住宅は今も使える。外観だけを保存するのではなく、かつての住空間の広さや配置を訪問者が感じられるようにしている。
建築と共同生活
ユースホステル協会は、この独特な空間構成の周囲で日常生活や活動が営まれ、世帯同士の結びつきが育ったと説明する。バルコニーや共用アプローチは単なる建築要素ではなく、隣人が出会う場所でもあった。美荷楼は一棟の現存建築を通して、初期再定住住宅の設計と共有空間を見せる。緊急建設の速度と、公営住宅に続く社会生活が同じ場所に重なっている。

