持ち上げた金属製ポットから、濃い茶がもう一つのポットの上に構えた布袋へ流れ落ちる。目を引く動作だが、その前後には静かな判断が続く。茶葉をどう配合するか、いつ煮出すか、どれほど蒸らすか、いつミルクを加えるか。ストッキング・ミルクティーとも呼ばれる香港式奶茶は、材料と同じくらい仕事の仕方に特徴がある。布のフィルターと二つのポットが、カウンターに独特のリズムを生む。
雑誌から
二つのポットが生む香港式ミルクティー
金属製のポット、布の茶こし、熟練した手順が、紅茶とミルクを香港の日常の味に変える。

二つのポットの間で
布袋を通る茶の配合
茶葉は抽出前に配合する。「香港記憶」の説明には、等級の異なる紅茶、熱湯、無糖練乳または植物性の代用品と、金属製ポット二つ、茶袋、電熱器が登場する。茶は味を出すとともに、液体が布を通りやすくなくてはならない。すべての作り手に共通する必須の配合はない。この調整の余地が、同じように見える二杯の味が違う理由でもある。
煮出すことと蒸らすことは別の工程だ。茶葉には湯の中で過ごす時間が必要だが、加熱が長すぎたり見極めを誤ったりすると渋くなる。ある工程が十分に進み、次を始める時機を知るところに技がある。
注いだだけでは終わらない
勢いよく注ぐことで茶を再び袋に通し、その後もう一度蒸らしてからミルクと合わせる。カップに先にミルクを入れる人も、その逆の人もいる。こうした違いは個々の実践に属し、一つの正解を争うものではない。
飲み手の一杯には、濃い茶、まろやかなミルクの口当たり、そして茶そのものの個性として、その判断がまとまって現れる。作り手にとっては、日々の営業の中で繰り返す仕事である。無形文化遺産事務所は、英国式のミルクティーから発展したこの身近な技術を、香港で独自の生活を得た食文化として紹介している。

