二人が同じ近隣にいても、別々の世界を生きることがある。劉以鬯の『対倒』では、年配の男性と若い女性が旺角を歩き、同じ景色を見ながら異なる思いを抱く。街路は二人を近づけ、物語は残る距離を読者に感じさせる。香港は接近、記憶、予感の模様として描かれる。
雑誌から
旺角を通る二つの道
劉以鬯の『対倒』は、同じ街を歩きながら別々に思考する二人を通して香港の都市生活を描く。
この地区 · 油尖旺区 ↗見知らぬ人が共有する街
切手から考えられた構成
小説は1972年に『星島晩報』で連載された。香港公共図書館の解説は、互いにつながりながら逆向きに配置された一対の切手を着想に結び付ける。この小さな品は物語の二つの筋を考える手掛かりとなる。
短い版は四十二節で、二人の視点が交互に現れる。若い女性は前方の可能性を思い描き、年配の男性は去った世界を振り返る。場所を共有していても、注意の向け方と内面は対照的だ。
映画館の隣席
図書館の読みどころには、二人が映画館で並んで座る場面がある。肘掛けが二人を分けるが、互いへの想像はさらに距離を広げる。上映後、二人はまた別々の道へ進む。
この場面は都市の近さを具体的な尺度で描く。人混み、歩道、映画館は見知らぬ人を隣に置いても仲間にはしない。旺角を通して読むと、隣席の人にも周囲からは見えない物語が続いているという都市の日常が見える。