博物館の仕切りの向こうにあるピアノは、文化遺産としてわかりやすい。だが楽器に命を与える何時間もの練習は、展示しにくい。ピアノといえば鼓浪嶼、というおなじみのイメージも、コレクションから、学び、教え、弾き、手入れする人々へ目を移すと面白くなる。
2017年の新華社のインタビューで、地元のピアニストFang Siteは、幼いころの音楽教育や家族の中での演奏会について語った。そこには島全体を表す標語ではなく、家庭の営みとしての音楽が、小さく具体的に見える。すべての住民が楽器を弾くという意味ではない。それよりも、学び、分かち合う普段の行為の繰り返しが、島の音楽的な個性を支えてきたことを示している。
