観客が集まる前に、まず劇場をつくらなくてはならない。竹と木材が骨組みを立ち上げ、空地だった場所に一つの空間を生む。屋根が覆いとなり、舞台が人々の視線の向きを定める。香港の仮設竹劇場は、ある機会のために建築と上演を結びつけ、行事が終わると再び場所を空け渡す。
雑誌から
祭りのために建てる竹の劇場
竹竿と木の梁が空地を仮設の劇場へ変え、芸能と儀礼を地域の中心に迎え入れる。

空いた場所が劇場になる
神々への感謝としての上演
地域では神の誕生日、打醮、盂蘭の行事などに竹劇場を建てる。中国伝統演劇は神への感謝として奉納され、宗教行事にも空間が使われる。観客は役者、楽師、主催者、儀礼への参加者からなる、より大きな営みの一部だ。
この環境は劇場の意味を変える。舞台はどんな公演にも使える台というだけではなく、暦、場所、準備する人々に属する。地域と上演の関係は、仮設建築に雨をしのぐ以上の目的を与える。建設もまた、その行事を可能にする仕事なのである。
敷地に応える建築
竹竿と杉材が支柱や骨組みをつくり、金属板の覆いが日差しと雨を防ぐ。規模は小さな集まりから数千人の観客を迎えるものまで幅広い。同じ常設ホールを繰り返すのではなく、つくり手は行事に必要なものに応える。
材料を生かす工夫と大きな空間への意欲が、劇場の性格をつくる。空の状態では頭上の架構が模様を描き、使われると声、音楽、舞台に注意が向く。どちらも同じ技の姿である。一度の祭りの間、十分な広さを持つ共有空間をつくり、何世代も同じ場所に残すことは目指さない。
