ザダ県トリン寺の白殿は、旧グゲ王国の歴史的景観にあります。自治区文化部門の2017年報道は壁画をおおむね15~16世紀とします。美術史家クリスティアン・ルツァニッツはトリンと同時期のギャンツェの壁画を比較し、双方にニューアル芸術の伝統が生きていると論じます。この比較は、具体的な視覚的特徴を手掛かりに、白殿の壁を広いヒマラヤ美術史に位置づけます。特定の外来工房が制作したと断定するものではありません。
雑誌から
トリン寺壁画に見るヒマラヤの芸術交流
美術史家クリスティアン・ルツァニッツは、トリン寺の壁画にニューアル由来の花文様や中国の織物模様を見いだし、地域の担い手が交流の要素をチベット芸術へ形づくった点を強調します。
同じ街をめぐる · ガリ ↗美術史家が壁画から読むもの
花文様、柱、織物模様
ルツァニッツは赤が優勢な色調と、植物文様や唐草に緑がより多く使われる点を記します。背景を埋める花唐草はニューアル由来の要素とされ、蓮華柱は人物像を囲みます。一方、中国的要素は主に衣服や織物の模様、とりわけ鳥や雲の文様に現れると分析しています。異なる視覚的参照が一つの絵画群に組み込まれたことは示せますが、各文様が特定の工房から直接来たとは証明できません。論文は図案、場所、時代を比較します。
地域の選択が作品を形づくる
この研究は、様式名を画家の出生地と単純に結びつけることに注意を促します。チベットの依頼主の要求や地域での選択も作品を形づくり、外部の視覚要素を取り入れても、できあがった作品はチベット芸術となります。この見方なら、トリンの壁画を外来の影響の一覧に縮めずに読めます。花唐草、蓮華柱、織物模様は一つの聖なる壁面にあり、特定の建築と共同体のために構成されています。地域間のつながりと土地に根ざした制作は両立します。
年代を持つ土地の壁面
壁画は白殿の内部に残ります。文化部門は堂内を555平方メートル、42本の柱と報告しています。視覚的なつながりはザダの外にも広がりますが、物理的な場所はこの土地にあります。ギャンツェとの比較はヒマラヤで共有された視覚語彙を考える手がかりであり、二つの遺跡を同じものとみなすものではありません。図案と建築環境をともに見ることで、地域間交流と、絵が作られ見られた宗教空間の双方を捉えられます。
